高齢化した町工場の仕事:社長達は70歳を超えてもまだ働くぞ

【 シニアの町工場の最近の経営状態 】

・町工場も跡取りはいなくて、高齢化している、

町工場の経営者たちも高齢化が目立っているようです。
以前ですと町工場は、
経営者の息子が後を継いで、親子でやっている工場も多かったようです。

しかし、町工場の経営も随分前から悪くて、子供を跡取りにするつもりはなく
息子たちは父親の工場は継がずに、サラリーマンをやっている人が多いようです。

その為、昔だったら年老いてきた父親に変わって
息子が後を継いで経営者になっていましたが、
高齢になった父親が、
いつ辞めようかと思いながら、
なんとか工場をやっている家が多いと思います。

自分だけでなく、工場も設備も老朽化し、
従業員も、若い従業員は取れず、寂しいことになっている工場も多いようです。

年老いた父親は疲れてきて、
仕事を辞めようかと、夫婦で相談し悩んでいる工場が多いようです。
年金をもらえる年になり、70歳になろうとした時、
「もう引退だ、工場を閉めよう」
と思う人が多いようです。
近所のアルミや鉄の部品工場をやっている70歳代の夫婦の家(Yさん)に
よくおじゃまするのですが、最近の町工場の様子について話を聞きました。

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【町工場を経営する70歳代の社長に仕事について聞く】

・値段を下げられる

跡取りのいないYさんの工場は、70歳を超えた経営者Yさんを中心に、
他の従業員も70歳近くになっています。

仕事が減っていき、従業員も辞めていくので、
工場の勢いは衰えていくばかりです。

そして、注文をくれていた会社は、値段を下げるように要求してきます。
これ以上値段を下げられたら

工場はやっていけない、というところになっていますが、
材料代が上がって行くさなか、
さらに、値下げを要求してきます。
大手の工場は、自分のところの従業員の給与をあげる必要があります。
組合がうるさいのか、

給与をたくさんあげないと従業員が集まらないのかわかりませんが、
まずは自分のところの給与を下げればいいのに、

絶対に自分の社員の給与は下げないで、
下請け工場の作業代を下げさせてきます。

下請け泣かせもほどほどにしないと、
協力工場がなくなってしまいます。

現に縫製工場は、日本からだいぶなくなってきました。
町工場もずいぶん減った筈です。
大手ばかりが良い思いをしているということを言われますが、
現場で見ていると本当にそうだと思いました。

・従業員が高齢、新しい人を雇うこともできない

従業員も高齢なので
朝の8時から夕方5時まで 働けない人も出てきます。

かといって、新しい従業員を雇うにしても、
経営者も自分が高齢なので、
いつまで工場をやって行くかわかりませんから、
無責任に若い人を募集することはできません

またアルバイトを募集しても、
働き手は、来てくれないそうです。

仕方なしに、
今のシニアの従業員だけで何とかやっているそうです。
働ける日だけ出社してもらい、
週に何回かだけでもいいから
働きに来られる日だけ 働いてもらっている状態だと言うのです。

得意先の大工場から、値下げを要求され続けてきているので、
町工場の従業員達の給与は、
大手工場の給与よりも、はるかに低くなります。

給与が低いので、
町工場には、従業員が来ないのかもしれません。

・シニアになった経営者が一人で作業することもある

暇な時は従業員が来なくてもいいのですが、
たまに仕事がたくさん来る時があるのだそうです。

そんな時、従業員がみんな高齢なので、
たくさん仕事をすることができません。

せっかく来た仕事も断らなくては ならない状態になりそうです。

しかし、いったん断ってしまい、
他の工場に仕事が行ってしまうと、
次の依頼が来なくなってしまうこともあるのです。

ですからYさんは何とか、お得意様の分だけは、
どんなに忙しくても、仕事を断らないようにしているようです。

従業員も高齢で残業などできないので、
高齢になった工場経営者が一人で作業していました。

かなり疲れているようだと、奥さんが言っていました。

「もう年だし、従業員も年だし、値段も下げられてばっかりで、・・・
材料代が どんどん上がるでしょう?
夫にやめたらって、言う時もあるんですよ」

とYさんの奥さんは言います。

昨年は、無理がたたり倒れてしまい入院したのです。

この経営者は、70歳になってから病気の他、
工場でケガもして作業ができなくなる日も増えてきたそうです。

・機械が古いが、買い替えることもできない

さらに機械も古くなってきます
今後 いつまで仕事ができるかわからない
借金して機械を買っても、返せるか
機械を入れても、仕事が来るのか

たいへん不安です。
今のところ、機械が壊れても、何とか修理してやっていますが
部品がないのです。
あまりに古いので部品が手に入りません。

機械も電子部品に切り替わっているメーカーが多いので、
古い機械は、もう部品がないのです。

機械を作っていたメーカーも、
もうなくなってしまったところもあります。

機械が壊れたら
そこで仕事を 辞める つもりの工場経営者が多いとのことです。
また従業員も高齢化し、アルバイトも来ないので、
このままの体制で、
できる所まででやって
あとは自然に、辞める時が来たら辞めるつもりのようです。

そうやって、徐々に仕事も少なくしているようです。

・嫁に行った娘に工員作業をしてもらっている

このYさんの家には、嫁に行った40歳代の娘さんがいます。
熱がまのところで、鉄板などの形を整える作業をしているそうです。
鉄の板という重たい材料を、熱いかまの前で、
作業をするのは力持ちの男性でも苦しくてできないそうです。

娘さんに、手伝に来てもらっています。
お爺さんばかりの油まみれの工場に、女が一人、作業しています。

後を取るつもりがないのですが、
アルバイトも見つからないので、
40歳になった娘でも
重たい鉄の材料を、高熱かまの前で加工して、
油まみれになって 汗だくで働いてもらっているそうです。

【工場を廃業したが、やっぱり復活した】

・工場を閉めて隠居したものの・・・

Yさんの友人の工場経営者は、機械が壊れて廃業しました。
何十年もやっていた工場を 閉鎖することは大変さびしいようです。

「もう自分は工場を閉めたんだ、作業しないんだ」
と思った時
ホットしたそうです

国民年金なので生活はできない位苦しいそうです
隠居したら温泉にでも行き、色々なところに旅行をしたりして
自由に暮らそうと思っていたようです。
しかし、そんなことお金がなくて全然できない ようです。

そして、毎日することがなく、時間をどうしていいか 分からず
散歩したり、草木の栽培をして時間を浪費していたようです。


そんな時、昔のお客さんから
「ちょっとだけ作ってくれないか」と部品を頼まれたそうです。

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・工場があっての自分だから、年取ってもやれるとこまでやる

断っても しつこく頼むので、
動く機械だけで何とか部品を作りました
やってみると、思っていたよりも部品ができたのだと言います。

それがきっかけで、自分一人で工場を復活させました。
「やっぱり仕事をしていないと返って苦しいよ。」
「毎日やることがなくてむなしいだけだ。」
と言います。

そんなように70歳から80歳の間の人で、
工場仕事を復活させた工場経営者が、
Yさんの周りに何人かいるようです

やっぱり仕事していた方がいいよ
と、Yさんの家に行った時に話してくれた
高齢の工場経営者たちがいました。
サラリーマンだった人は、
定年退職した後に、豊かな共済年金や厚生年金で

毎日温泉や、スポーツジムに行って遊んで暮らせるようです。

しかし、「やっぱり 何か仕事がしたい」
と思う人も多いようで、働いている人もいます。

自営業者は、国民年金ですから、
国民年金では食べられないこともあり、
どんなに年をとっても、働き続けなければなりません。

そして、
自営業者にとっての職業はお金の為だけでなく、
生きがいとしての何かがあるような気がしました。

知合いの町工場のシニアの経営者達も、
もうすぐ80歳になりますが、
毎日工場で働いています。

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