兼業で不動産業を開業し失敗した未経験者:宅建取引士や事務所要件

【不動産屋を開業した雑貨屋の奥さん】

・雑貨屋と兼業で不動産屋を開店した未経験者

親が、商店街の中に小さなビルをもっている
個人業者(雑貨屋)の人がいました。
景気がいい時に親がビルを建て
それを息子さん(当時40歳代位)が相続しました。
貸室が5つあって人に貸しています。

一階が店舗で2階3階を居住用として貸しています。

雑貨屋さんを営んでいます が、

商店街がさびれていくと同時
お客さんも来なくなり不安になっていました。

そこの奥さんは、宅建主任者の資格を持っていました。

貸しビルで部屋を貸しているなら

不動産屋を自分でやってみればいいと、
誰かに言われたらしいのです。

でも奥さんは不動産屋に勤めた経験はありません

夫の貸しビルの貸部屋の契約は奥さんもやっていました。
市販の賃貸契約書に貸し主や

借主の名前、住所、家賃などを書けばいいようにできている

簡単な契約書で貸していました。

宅建の協会に相談に行くと
「宅建主任者の資格をもっているなら、未経験でもできる。」
「自分で賃貸契約もやっているし、紹介物件も既にあるからやってみたら」
と言われたそうです。
それで、「お店は売上がないので何とかしたい」

と思い、不動産業をやってみることにしました。
雑貨屋に出入りする人も多いので、

不動産の方もいいのではないかと思いました。

【不動産業を開業することについて】

・不動産業の開業条件(宅建主任者、資金が必要)

不動産業を開業するには
従業員の5人に1人の割合で
宅地建物取引士(宅建主任者から改名)が必要です。
一人で始めるなら
自分が宅建取引士の資格を持っていれば、
不動産屋は開業できます。

よく勘違いするのですが宅建取引士の資格が
不動産屋の免許だと思われているようです。
宅建取引士の資格 と 宅地建物取引業者の免許
は別
のものです。

宅建取引士は、

個人の持つ資格で
勉強して試験を受けて所持することができるものです。
業務は重要な事項の説明と、ある書類の記名押印です。
これがあっても不動産業を営むことは許されません。
宅地建物取引業者の免許は、不動産の事業を営む場合、
事務所要件などを満たせばもらえる営業の許可証です。

不動産の商売を許可されることです。

そして宅建主任者と不動産業の営業許可証の
2つがないと不動産業はできません。

不動産業の経営者は、

宅建取引士の資格を持っていなくもいいのです。
宅建取引士の資格をもっている従業員を雇えば

不動産業を営むことができます。

この奥さんは自分が宅建取引士で、
自分が経営者として不動産業を登録し開業しました。

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・不動産業の免許申請の前に

準備するものがあります。
事務所、組合入る為に180万円、
宅地建物取引士、応接セット、電話 FAX コピー機
パソコン プリンター カメラが必要です。
看板、名刺などもそのうち必要になります。

必要なものもそろえるのに
180万位の入会費の他にも少しお金が借ります。
宅地建物取引業保証協会に加入するのに
180万円位のお金が必要です。

この会に入会できなければ仕事ができません。
会に入れないと1千万円の供託をしなければなりません。
個人でそんなお金はなかなかないと思います。
このうち60万円は
供託金で廃業すると戻るとされるお金です。

・事務所要件:不動産事務所の写真が必要

申請書に事務所の内外の写真を添付します。
個人の人が不動産業を始める時に問題となるのが事務所です。

不動産業開業の場合の事務所要件は厳しいようです。
この人の場合には

一階の雑貨屋の中に事務スペースがあり
そこを事務所として申請したようです。
空いている貸部屋でも事務所登録はできるようです。
ただし自宅兼事務所の場合は自宅の玄関と
事務所の玄関が同じでは許可はおりません。

申請すると宅建協会の人が見に来ます。
宅建業者として運営できる事務所の状態であるか、どうか確認しにきます。
また許可申請の際、

宅建係りの役人も申請者と宅建主任者の経歴や事務所をよく気にします。

【未経験者の不動産業の仕事】

・未経験者でも不動産業はできると入っても

免許の許可が下りて、
宅建協会の支部に帳簿や備品などを取りに行き開業できます。
新人研修のようなものもあるらしいです。
DVDや保証協会では、
宅建業者用の研修が時より開かれるようですが


実際に実務はやってみないとわからない部分もあるのかもしれません。

未経験の奥さんは、まず自分の貸室を広告を作成しました。
他の賃貸アパートの広告を見て、
自分の貸部屋の賃貸広告を見よう見まねで作図したようです。
そして事務所のガラス窓に貼り付けました。

・賃貸の営業活動をしても

雑貨屋さんをやっていますから、人の出入りはあります。
当初、雑貨屋のお客さんが、

依頼していくれる大家さんになったり(買い物客に大家さんもいる)

不動産のお客さんになってくれると思っていました。
しかし予想は大きく外れたようで、不動産の相談は少ないようでした。

知り合いなどで
大家さんをやっている人がいましたから、
開業の挨拶に行きました。

商店街の知り合いに大家さんをやっている人もいます。
知人もいます。
空きアパートも空き店舗も空き地もあるのです。

何人かの人に開業の挨拶に行きました。

しかし 仲介の依頼は来なかったようです。

よくわかりませんが、
何人にも挨拶は行っていないようなのです。
「あまり仕事がなかった。」

としか奥さんが話してくれないのです。

知り合いで
貸し駐車場や貸家を営んでいる人もいるようでしたが、
未経験なので
あまり積極的に宣伝はしなかったようです。
それに相手からも仲介をして、と言われることもなかったのです。

大家さんたちは既に長年付き合っている不動産屋がいます から、
急に切り替えてくれる人はいなかったようです。

奥さんはヒマとは言え
夫と雑貨屋(小さいスーパーのようなもの)をやっています。

仕事の種類が違うので大変難しい と言っていました。
開業申請や開業時の準備も講習も難しかったようです。
仕事が全然違うので、

とにかくわからないことが多かった ようなのです。

・賃貸契約書などパソコンで作り、中高年からの慣れない仕事は辛い

しばらくたって知人で
貸家をやっている人から賃貸の依頼がありました。
賃貸なら 自分でやっているから
自分のところの契約書は書けます。
大家さんと会って、家賃や入居条件を伺います。
借主が現れたら、
どんな人なのか面接して、保証人つけて、
源泉徴収票 住民票などをもらい、 権利金 敷金を預かります。

貸家の広告を作図して自分の事務所のガラス窓に張りました。

しかし苦労して作っても全然入居の話は来ないようです

自分のアパートの入居は
以前から不動産屋さんに任せています
空きが出ると伝え、しばらく経てばそちらから話は来ます。
でも奥さんが自分で他の人のアパートについて、
貸家の広告を出しても入居の相談は来ないそうでした。
プロの不動産屋との力の違いを感じたのかもしれません

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・不動産業は法律の他パソコンも覚える必要がある

不動産の仕事は、借主と貸主の間に入ります。

入居の申込の時だけでも気苦労はあります。
入居の申込があれば大家さんに空いているか確認し、
相手がどんな人か確認し、空き部屋を案内します。
それで契約前に重要事項の説明をし、
契約時に契約書を作成し、敷金などを預かり大家さんに渡します。
賃貸契約書も
自分の貸家の分は手書きでできますが、
仕事で頼まれは他の人の分は
組合指定の賃貸契約書で作成します。
苦手なパソコン作業をしなければなりません。

また時々しか不動産のお客さんは来ないのですが、
そのめったに来ない入居希望者も貸家を見るだけで、

なかなか借りてくれない のだそうです。

その度に、いちいち入居者の身元確認、
大家の空き部屋の確認の連絡をして案内することに、
疲れてきてしまったようです。
これが不動産屋の仕事だから当たり前のことです。

しかし ごくたまにしか不動産の仕事をしないので、
大変だそうです。
本業は雑貨屋さんですから、
不動産業とは全然ちがう仕事です。

とにかく 面倒で嫌になってきたようなのです。
苦手なパソコン作業からも解放されたいと思っていたようです。

・5年で不動産業を廃業した

不動産屋の営業許可証の(宅地建物取引業の免許)は
5年間しか有効ではありません。
5年経ち更新すれば続けられます。

更新の為に事務手続きと更新料約3万円がかかります。
宅建業の免許の更新はせずに、5年で廃業しました。
知人の賃貸契約、駐車場の契約など
5年間で数件の賃貸の仲介しかしなかったようです。

「全然できなかった。新しい法律も覚えなければならないし、
借りてくれる人と貸してくれる人がなかなか見つからない
パソコンがまったくわからないので 始めてすぐに嫌になった」
と言っていました。

「開業にかかったお金を無駄にしてしまった。」

ワード、キャド 図面作成ソフト、
インターネットなどのパソコンの能力が必要なようです。
開業前に不動産業に勤めてから、
経験を積んでみないとできないのではないでしょうか?

【不動産業の開業のアドバイス】

不動産屋さんを始めて5年で廃業した知り合いは他にもいました
宅建取引士の資格を持っていても
不動産業に勤めていない人もたくさんいるようです。
宅建業は事務所と宅建取引主任と
入会金180万円弱あれば開業できるので、
比較的独立開業しやすい仕事なので
開業する人も割といるようですが、
同時に廃業する人もそれと同じ位いるようです。
私の住んでいる宅建協会の事務に人に聞きました。

不動産の業界も厳しい ようです。
土地の売買の3%が手数料になりますが、
土地の値段が下がっている ので、
入ってくる手数料も少なくなりました
また法律がどんどん業者に対して厳しくなっている
仕事が大変になってきたようです。
さらに金融機関でも不動産業をやっているところもあり、
新規に始めるには、

よほど売上先の準備をしてからでないと成功は難しいようです。

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